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「ろろろ!呂明賜!」元巨人“アジアの大砲”基準のスタッツ(統計数値)とは



村瀬秀信の「凄まじいスタッツ」


スタッツとはスポーツの場合、選手のプレー内容に関する統計数値=スタティスティックスを指す。セイバーメトリクスを駆使してMLB、NPB、NMBなど、世界中のアスリートのプレーを鼻歌混じりで解析してきた筆者が、まったく新しいプロ野球の世界を提示する。



今月もはじまりました「凄まじいスタッツ」。この連載は、スポーツ界において統計・成績を現す「statistics」スタッツを、より深く、よりデジタルに、愉快な追求をしていく試みです。

プロ野球におけるスタッツでは、あらゆる個人のプレーまたはチームの成績を数値化することが可能です。

一般的な打率(Ave)や防御率(ERA)、長打率(SLG)なんてものから、「どのぐらい守備範囲が広いか」(UZR)もしくは「リーグの平均的な投手が投げた時よりも、テメェはどんだけ失点を防げたのか」(RSAA)なんて妄想まで、いったいどんな指標が飛び出すのやら。それでは今月のスタッツを見ていきましょう。

「ろろろ」


今月のスタッツは「ろろろ」です。が、そこへ触れる前にまず、ここでの基本となる単位を学んでおきましょう。それは「333」……そう、昨年ヤクルト山田、ソフトバンク柳田と2人も誕生したトリプルスリー(同一シーズン3割30本30盗塁)の実現性指標を表すスタッツなのです。

さて、このスタッツの使い方ですが、前半戦終了時のヤクルト山田哲人の成績を例にすると、「打率3割5分、本塁打29本、20盗塁」って……もはや2年連続トリプルスリー達成ほぼ確実のおかしな成績ではあるものの、これを書くと、350/322というかたち。322の並びは打率「3」割、本塁打20本台「2」、盗塁20個台「2」ということになります。

同じく昨年トリプルスリーの柳田悠岐を見てみましょう。前半戦3割1厘10本15盗塁なので、301/311となります。今季大躍進の広島の鈴木誠也も325/311で、トリプル達成の可能性は十分にあるように思えます。

では、これはどうでしょう。30822(1)/225。はい、これは単純に225(筒香=つつごう)と読みます。

(1)は盗塁失敗ですね。続いてどんどん行きましょう。次は340(2)/551。はい、これは「551蓬莱」の豚まん2個入りで340円ですね……と、際限がなくなってきたので、この辺で今月のスタッツで取り上げた本題に行きましょう。

「255165/ろろろ」

はい。これなんでしょう。数字の3じゃなくて「ろ」です。漢字では呂と書きます。そうです。言わずと知れた“アジアの大砲”ルー・ミンスー(呂明賜=ろ めいし)です。255の数字は’88年、日本列島に強烈なインパクトを与えた元巨人の呂明賜の成績。打率2割5分5厘、16本塁打、5盗塁であります。このスタッツ「ろろろ」は外国人選手のインパクト度を表す指標になります。初打席初本塁打を記録し、デビューから17試合で10本塁打を放った呂明賜の華々しさに比例するか、その条件をクリアできたかどうかを三段階で表します。

一段目「ろ」/ミラクルバットが火を噴いた
二段目「ろ」/ミラクル男で行けた
三段目「ろ」/虹のアーチ叩き込んだ どでかい一発だった

04stats02

このように非常に難しい定義ではありますが、来日1年目こそ好成績を残した呂明賜さんも翌’89年からは、

’89年 28221/ろ → ’90年30800/ぼろろ → ’91年25001/かえろ

と苦戦を強いられます。ちなみに、この3年後に中日の大豊が3割1分38本で「ろろ」まで行きますが、「ろろろ」まで行くのは、2013年の陽岱鋼まで待たなければなりません。2821847/ろろろ はお見事な数字でした。

ちなみにこの「ろ」の部分は球団、状況、環境、によって変則的に使われることもあるようです。過去には、

ろろり=私はロッテのレロン・リーです。
ろおり=いいえ、私はロッテのレオン・リーです。
ららら=親も年だし、こんな年だし、あなたしかいないし。

などが使用されていた可能性があるそうです。

……そして、じぇじぇじぇ。これはいいや。やめときましょう。そんなところで、今月はここまでにいたしとうございます。いやー、数字ってごまかしがききませんね。もう無理だと思います。

文/村瀬秀信

※『デジモノステーション』2016年9月号より抜粋

むらせひでのぶ/ライター、コラムニスト、プロ野球観客。セイバーメトリクスとか武器にできたからいいなぁと憧れる40歳。数学2、血圧140。著書に「4522敗の記憶」(双葉社)、「プロ野球 最期の言葉」(イーストプレス)、「気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている」(交通新聞社)など著作多数。