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14年間勤めたAmazonを辞めて、スキなこと、そして人と違うことを追求した/waltz 角田太郎

これまで培ってきた趣味、職歴、知識などの集大成として挑んだカセットテープ専門店。しかし、それはゴールではなくスタートにすぎない。優秀なビジネスパーソンであっても、新しい事業を継続させていくことは簡単ではないのだ。すべてを自分でこなし、頑張ったからといっても売り上げの正確な見通しは立たず、招かれざる客も来店する。それでもなお「スキをスキルに」することを目指す人に向けた、ビジネス面でのアドバイスとは?

ビジネス的なキーワードは、“ありがたみ”




第1回の記事で、waltzを始めた経緯を「世界で誰もやっていない、自分にしかできないこと」と語ってくれた角田さん。彼にとって、趣味としてコレクションしてきたカセットテープを「実店舗で」販売することこそが、それと合致した。

「オンラインで立ち上げていたら何も起きていなかったと思うんです。実店舗でやったことの意味は大きかったですし、そこしかないと思っていました」

一部では、Amazonが実店舗のビジネスを破壊したとも言われる。しかし、それは間違った認識だと角田さんは語る。

「前職のとき、休日にお店を回りながら“もったいないな”と感じることはよくありました。インターネットを使って何でも買える世の中では、実際に足を運んで見て感じられる体験こそが、大きなアドバンテージなんです。ビジネス的なキーワードは、“ありがたみ”。ありがたいと思えるものでないと、人はお金を払わないですよ」

細部に至るまで、誰もやっていないことをやる


「みんななんで同じことをやるのかな? と思うんです。サードウェーブ・コーヒーが流行れば、あっという間に街中にコーヒースタンドができる。最近ならタピオカ屋さん。それで成功している人もいますけどね。僕は、好きなものに出会ったら、とことん追求しろと言いたい。それが他の人と違うと、なおさら面白いことになるからって。打算もなく追求していくと、違う世界に行き着くんですよ」





情報過多ゆえに、ひとつのことに熱狂するのが難しくなっている時代。だからこそ、「スキ」は大きな「スキル」になりえる。とはいえ、それだけではビジネスにはならないのも事実。

「これが地方の雑居ビルの2階にあったら、ここまで注目されていません。どういう場所で、どういう空間でプレゼンをするのかは重要です。中古レコード店や古本屋さんの多くは、埃っぽくて在庫がうず高く積まれていて、男の世界って雰囲気がありますよね。それもまた、誰かがすでにやっているフォーマットなんです。僕はここをアートギャラリーみたいな空間にしようと思った。そして、女性がひとりで安心して入れる店を裏テーマに掲げたんです」

好きでやっている人には敵わない


このような考えに至ったのは、WAVEで働いていた経験など、これまでの知識やセンスの積み重ねのうえにあると語る。

「やるからには、大手企業にキャッチアップされないような、誰も追いつけないところまで行こうと思っています。また、音楽を売る業界の栄枯盛衰を見てきて、既存のレコードショップとは違うフィールドで、まったく新しい価値を作らねばとも思っています。参考にしている業界はなく、そこは手探り。唯一意識しているのは、既存の音楽業界の外側に位置するということです」



最後に、これからの人生でスキをスキルにしようと考えている人たちに向けて、具体的なアドバイスを聞いた。

「もし起業するなら、最初の一年間は無給でも回せるくらいの貯蓄はしておいたほうがいい。なぜなら、起業1年で約50%の会社が倒産する。3年で80%。それくらい難しいんです。アマゾンの同僚もまた多くは失敗しています。うまくいかない理由はたくさんありますけど、儲けたい一心で、愛もないことを始めるのが一番よくない。結局、“好きでやっている人には敵わない”んです。寝食も惜しんでスキなことに没頭できるっていうのはすごい強みで、それが仕事ならなおさら。そういうことに出会える人生は幸せです。誰もが一日の半分くらいを仕事に費やしているわけですから」



【waltz】
住所:東京都目黒区中目黒4-15-5
営業時間:13:00~20:00
定休日:月曜
公式サイト:http://waltz-store.co.jp/

text富山英三郎

  • photo下城英悟(GREEN HOUSE)


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