
生で見るお笑い芸人に興味津々!
体育館に集まったのは小学6年生。
そこに、漫才コンビ「セバスチャン」と「じなんぼ〜いず」が登場。(ギャグを交えて)自己紹介をして授業がスタート。

「僕らお笑い芸人なんですけど、僕らのことを見たことある人なんていますか〜?」
司会役のセバスチャン原田さんが生徒たちに問いかけると、さっそく何人かの手が上がる。「えーっ、ホントに?」「どこで見た?」と少し驚いたように聞くと、生徒の答えは「YouTubeで」。
笑育の授業があることは伝わっており、事前にYouTubeで確認するのは、今どきの小学生らしい。また、「今見た!」と答える生徒もいて、これまた小学生っぽい。
お笑い芸人とコミュニケーションする機会は、普通なかなかなく、子どもたちのテンションが徐々に上がってくるのがわかる。
「授業に入る前にネタをやってもいいですか?」
体育館は拍手で包まれる。じなんぼ〜いずが、童話の「金の斧、銀の斧」をモチーフにした漫才を披露。

がっつり漫才で小学生の気持ちをつかんだ後は、いよいよ課題に入る。
課題1.あいうえお作文を作ろう
場があったまったところで、いよいよ最初の課題「あいうえお作文」に挑戦する。テレビの大喜利で見たことのある人もいるだろうが、あいうえお作文は、お題の各文字を頭文字にして文を作る遊びだ。文字数に合わせて数人が担当し、最後の文でオチがつくと笑いが生まれる。
たとえば、この特集のテーマ「習い事」なら、こんな具合。

たいして笑えないのはご容赦いただきたいが、大事なのは、あいうえお作文で培われる「連想する力」だ。自由に発想しろと言われても、なかなか難しいが、しりとりのように頭文字が指定されれば、アイデアは思い浮かびやすい。
この日は小学校のある市の名前をお題に、先生や芸人が見本を見せる。そして、生徒たちからお題を募集し、5~6人のグループにわかれて10分ほど考える時間を取って、発表。
子どもたちにしかオチがわからない内輪ネタあり、失敗してしまう子どももいるが、悲壮感はゼロでとにかく楽しそう。これはお笑い芸人を養成する授業ではない。自由な発想で、できれば人を楽しませたいと思う。それが大事なのだ。
STEP1.まずはお手本を見せる


STEP2.お題を募る

STEP3.シンキングタイム


STEP4.グループで発表

課題2.漫才に挑戦
笑育は全5回の授業で構成され、生徒たちはオリジナルの漫才作りと発表に挑戦するが、初回でもテンプレートに従った漫才作りを体験する。
漫才には、3つのパターンがあると実演とともに解説され、漫才を作るためのドリルが生徒たちに配布される。3種類のパターンとは、「ズレ漫才」「かぶせ漫才」「勘違い漫才」。たとえばズレ漫才のドリルには、このように書かれている。

穴埋めとなっている数字部分に書き込んでいけば、漫才が完成するしくみだ。そして希望者は前に出て、プロの芸人と漫才を披露。基本は生徒がボケ役で芸人がツッコミ役だが、生徒の希望で逆にしたり、台本もドリルから少し変えたりするなど、かなり自発的に漫才作りを楽しんでいた。
STEP1.漫才の仕組みを学ぶ


STEP2.ドリルを穴埋めする


STEP3.プロの芸人と発表



ビジネスの現場でも役立つ
「笑育」誌上ワークショップ
笑育では、「プレゼンテーション力」「発想力/創造力」「論理的思考力(編集力/構成力)」「問題解決力」「コミュニケーション力」といった力が身につけられる。
とくに、コミュニケーション力の向上には即効性があり、IT企業や金融機関など、業種を問わず様々な企業の研修にも採用されている。ここでは、その一部を誌上ワークショップという形で紹介していこう。
課題1.自己紹介に使える「コンパクトにインパクト」
ビジネスや日常生活において、新たに出会う人に良い第一印象を残すことで、コミュニケーションが円滑になる。以下の3つは、芸人がオーディションやテレビ出演の際に実践している自己紹介のメソッド「ギャップ」「誇張」「マニアック」。これらを元に、30秒程度の自己紹介文を作ってみよう。

見た目の印象とは逆のことを言う。たとえばいかにもオジサンっぽい見た目なら、「スイーツと少女漫画が大好きです」、チャラい外見なら「国家資格を3つ持っています」といった具合。ギャップは相手にインパクトを与えて覚えてもらいやすくなる。また、人間の幅も感じてもらいやすい。

ダンディな人が「シャワーは毎日3回浴びています」と言うように、自分の特徴を誇張する方法。ただ注意すべき点は、自分の欠点をそのまま言うのはNG。モテない人が「これまで彼氏がいたことありません」は初対面の人が笑えないからだ。「マッチングアプリはすべて試しました」ぐらいならOK。

自分の好きなもの、得意なものを言う。「ザリガニ好きで100匹飼ってます」といったマニアックさは印象に残りやすい。とくに趣味などない人でも、何かしらのこだわりはある。「目玉焼きにかけるのは塩でも醤油でもソースでもなく、タルタルソースです」なんて小さなこだわりでも人の印象には残る。
課題2.角が立たない「言葉の言い換え」
コミュニケーションで一番まずいのは、怒りなどの感情のままに話すこと。そこで、ネガティブな言い回しをポジティブかつユーモアを交えた言い方に変換する練習をしよう。ビジネスの場で笑わせることまでは必要ないが、よりマイルドになるよう言い換えるだけで、コミュニケーションは圧倒的に良くなる。

【こんな怒りの感情をどう言い換える? 】

たとえば、上の「なんで私なんですか」は、「私でいいんですか?」(視点を変える)、「話を聞いてないだろう」なら、「今、何か楽しいことでも考えてたの?」(ポジティブに変換)などと言い換えられる。正解はひとつではないし、状況や自分、相手のキャラクターによっても最適な言葉は変わってくるだろう。
【子どもをダシに、
2019年は大人も習いたくなる!New wave習い事ガイド】

教育は親の義務とばかりに、わが子を塾や習い事に通わせる親は少なくない。すばらしいことだが、その習い事、本当に子どもは楽しく通ってます? 楽しくやってこそ才能が伸ばせるのが習い事。いや、親である大人こそが楽しいと思えるものこそ、胸を張って子どもに勧められるハズ。そんな視点でニューウェーブの習い事を集めてみた。子どもと一緒に始めるも良し、親が最初にハマるも良し。習いたいと思うのに年齢は関係ないのだ!
※『デジモノステーション』2019年1月号より抜粋。
text小口覺
- photo下城英悟(GREEN HOUSE)