TOPmamagirl【僕が妻に恋する瞬間】#2「プロポーズ」

【僕が妻に恋する瞬間】#2「プロポーズ」



妻と初めてデートしたのは、桜木町のみなとみらい。家族でときどき遊びに行くと、そのデートの話を二人ですることがある。「ここで手をつないだよね」「ここでクレープ食べったっけ」「ランチはここに行ったよね」結婚したいまでも、その時のことはハッキリと覚えている。二人の記憶を確かめ合うように、いたずらっぽく笑って問題を出す妻がとても可愛いと思う。会社の飲み会で隣に座った女の子のことが忘れられず、若いころの僕は毎日会社に行くのが楽しみだった。それでも仕事は相変わらず忙しかった。飲み会のときに少し話をしたとき、部署が違えば一緒に仕事をすることもないし、チラっと見かけることができたら、それだけで嬉しかった。あの飲み会以来、すれ違うたびに僕に話しかけてくれる。「さっき経理に送ったメール、添付ファイルがついてなかったよ?」「今日も忙しそうだね。ちゃんと休めてる?」僕は、特に用事もないのに、自席に戻る時にオフィスを遠回りして話かけるタイミングを探していた。「あとで経理申請の修正をメールしますね」「今度、花火大会に行きませんか?」何度か話をしているうちに、僕が気になっていた女性はシングルマザーだということを知った。勇気をだしてそのことを聞くと「なんだー!知ってたんですね」と言って子どもの写真を見せてくれた。僕は子どもが好きだったから、彼女とその子供が笑っている写真に釘付けになった。その時、、「私も気になってたことがあるんだけど、彼女いるんだって?」「えっ何で知ってるんですか?」僕に彼女がいることを知っている人は少ない。それに、つい昨日その彼女と別れたことを知っている人はいない。「実は半年くらい付き合っていた彼女がいたんですが、この前別れました」「えっそうなの?どうして別れちゃったの?」「お互い忙しくて、疎遠になっちゃって」彼女の目をみて話をすると、嘘がつけないような気がした。目元がキラキラしていて、優しい瞳をしているのに、どこか心を見透かされているような気がした。年齢が自分より年上というのもあるかも知れない。会社の休みの日に二人で初めてデートして、僕たち二人は付き合い始めた。1年半が経った翌年の花火大会で僕は彼女にプロポーズをした。「特別協賛席で花火をみるのって初めてかも」「僕も大きな花火をみるのは初めて」「フィナーレまで見てたら電車が混むから途中で帰ろうかな」「そっか。そうだね」子どもは彼女の実家にいて、花火が終わって帰るのを待っている。たくさんの花火があがっているのを二人でみて、急いで帰り道に向かった。人混みを避け、細い道を探して二人で駅に向かう。本当は花火が全て打ち上げるフィナーレで、彼女にプロポーズをしようと考えていた。会社でみんなに見せる笑顔。子どもの笑顔とそっくりな親子の姿。夜、二人で過ごす時にしか見せない表情にドキドキした。笑ったり怒ったりしながら、また来年もその先も一緒にいたい。駅に向かう帰り道、花火の音がしなくなった瞬間に「結婚しよう。家族になろう、僕が幸せにするから」彼女が歩く足をとめて下を向く。その時、最後の花火があがった。「遅いよバカ。ずっとその言葉を待っていたんだから」「えっ。」「ちゃんとプロポーズしてくれてありがとう」彼女と初めてデートしたのも、花火をみたのも同じ場所だった。そしてプロボーズしたのも横浜のみなとみらいだった。その後、3人で結婚式をあげたのもみなとみらいで。2人でいる時間も、3人で過ごす時間もずっとずっと大切にしたいとあの日撮った写真を見ながら、10年経ったいまでもよく話をする。

【妻ヘのラブレター】


初めてのデートや2人の思い出を、僕たちは少しずつ忘れてしまうから何度も昔の話をする。君と出会った日のこと、3人で暮らし始めた日、喧嘩をしたり仲直りしたりして結婚式を迎えた日のことを。 10年後、20年後もまた思い出せるように、2人の記憶を確かめ合いながら、手を繋いでデートしよう。