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櫻井圭登&三上 俊が4度目の役で感じた『艶漢』への愛。浪漫活劇譚『艶漢』第四夜、まもなく上演!

初演から約4年にわたり、櫻井圭登と三上 俊が出演し続けている『艶漢』シリーズの第4作目にあたる、浪漫活劇譚『艶漢』第四夜が2月16日(日)からシアターサンモールにて上演される。
舞台はノーフン(フンドシをはいていない)がちな柳腰の美少年で傘職人の吉原詩郎と、熱血正義漢の巡査殿・山田光路郎、そして詩郎の兄貴分で無敵な色気を放つ吉原安里を軸にした、昭和のノスタルジー感が漂う、笑いあり、サスペンスあり、涙ありの物語。
脚本・演出は初演からほさかよう(空想組曲)が手がけ、キャストは、主演の吉原詩郎 役に櫻井圭登、山田光路郎 役に、こちらも初演から出演している末原拓馬(おぼんろ)、吉原安里 役に三上 俊。さらに、実力派の小沼将太や加藤良輔など新キャラクターも登場し、人気作に華を添える。
その舞台でシリーズすべてに出演している櫻井圭登と三上 俊にインタビュー。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 関信行


お客様に恩返しできる場所を設けていただいて光栄


ーー “第三夜”から約1年ぶりに『艶漢』が戻ってきました。今のお気持ちを聞かせてください。

櫻井圭登 初演から3年以上経っていますから、中学生・高校生であれば入学から卒業までを経験したのと同じで、僕にとって役者として大切な時期を『艶漢』とともに歩むことができて嬉しいですし、このシリーズを愛してくださった方がいるから今作も上演できるので、お客様に恩返しできる場所を設けていただいて光栄です。

三上 俊 初演は僕が34歳のときでしたが、役者としての方向性がなんとなく見えてきたところに吉原安里という役をいただいて、まだまだ役者として転機があるんだと実感させてくれました。『艶漢』には成長させていただいていますし、お客様が喜んでくれたからこそ“第四夜”までたどり着けたことに感謝しています。(櫻井)圭登と末原拓馬とは初演から出演し続けていますので、3人が中心となってお芝居の質を高め合いながら、新しいキャストと共にこれまで以上の舞台を届けられたら嬉しいです。

艶漢 櫻井圭登 WHAT's IN? tokyoインタビュー櫻井圭登



ーー “第三夜”を振り返ってみていかがですか。

櫻井 初演から前作に至るまでに、原作のお話が縦軸として通るようになって、新しい真相に走っていく疾走感が舞台に生まれました。今回はそれぞれのキャラクターの関係性がさらに濃密に複雑になっていくので、前作までが1幕とすると、今作から新しい幕の始まりだと思います。

三上 “第三夜”で(吉原)詩郎は(吉原)安里が属している「組」という存在に近づいていきました。今作ではまず、『艶漢』の世界観を提示しつつ、詩郎と(山田)光路郎の関係が深まることでさらに『艶漢』の世界の真実に迫っていきます。これまで積み上げて研磨してきたお芝居をお見せできるし、より深く世界観を理解していただけると思います。

艶漢 三上 俊 WHAT's IN? tokyoインタビュー三上 俊



ーー 今作に臨むにあたって気をつけていることはありますか。

櫻井 『艶漢』に帰ってくると、まだまだ先輩から盗めるお芝居がありますし、これだけシリーズが続いていますが、ゴールはどこにもないので、僕にもまだできるお芝居があると思わせてくれます。贅沢な環境をつくってくださるいろいろな方に感謝しながら、僕はただ食らいついてぶつかっていくだけだと思います。

三上 安里を3度演じることで、彼のことを深く捉えることができるようになったし、だからこそ今作では新しい安里の一面も見せたいと思います。あくまで脚本に沿った安里を演じなければならないので、安里のことを知りすぎるが故に表現しなくていいお芝居までをしてしまっては、お客様を混乱させてしまうだけなので、そこは気をつけたいです。

艶漢 WHAT's IN? tokyoインタビューーー 櫻井さんが演じる吉原詩郎、三上さんが演じる吉原安里はどのような役だと思っていますか。

三上 吉原安里は詩郎の兄貴分で、「南座長」をしているのですが、とにかく強さと色気で人を魅了して、のし上がってきた男です。詩郎に対して特別な想いがあって、『艶漢』ではふたりの交錯する想いが物語の核になると思います。

櫻井 吉原詩郎は男性も女性も魅了し、冷酷に見える美少年ですが、巡査の山田光路郎と出会って、人間の温かい気持ちを手に入れて変わっていく繊細な少年だと思います。

肌の露出度が高いので度胸はつきました(笑)


ーー 今回ではどのような関係性を築いていきたいですか。

三上 現在では、詩郎と安里は互いに愛し合いながらも憎むべき関係になっているのですが、今作は回想シーンで絡むことが多くて、純粋に愛し合っていた過去が垣間見えるので、現在までの過程をどれだけ丁寧に見せられるかが勝負だと思います。

櫻井 詩郎にとって安里は大好きですが、憎んでいる存在です。彼の抱く葛藤を繊細に描かないと、お客様にはふたりの関係がうまく伝わらないと思っています。回想シーン以外は触れ合わず、お互いの距離が離れているからこそ、詩郎の安里に対する気持ちをきちんと表現できる方法を本番までに見つけたいと思います。

艶漢 WHAT's IN? tokyoインタビューーー おふたりにとって4度目の役になりますが、すでにどんな存在になっていますか。

三上 肌の露出度が高いので度胸はつきましたね(笑)。お芝居をイチからつくるのに比べれば、4度目の安里に向き会うことに不安はないです。演出のほさかようさんを含め、圭登も末原拓馬も信頼しているので、クリエイティブに役をつくることができる現場だと思います。

櫻井 詩郎を演じてから美意識が高くなりましたし、『艶漢』は肌の露出が多いから、絶対に身体をつくる必要があるので、僕にとってはありがたいです。このシリーズがなかったら、ひょっとしたら今は太っているかも(笑)。

三上 あはは。わかる。

艶漢 櫻井圭登 WHAT's IN? tokyoインタビューーー たしかに、ビジュアルは目を惹きますね。

三上 今回に関してはいつもより控えめだと思います。というのも、今作は今までよりも会話劇の要素が強いので、ビジュアルよりもお芝居を見せる必要があるからですね。『艶漢』といえば“エロ担当”がいつもいるのですが、今回はいないよね?

櫻井 いないかもしれないですね。

三上 今回は「水劇一座」という劇団が登場する劇中劇が特徴で、女性のキャラクターが多いので、エロスよりも美しさに特化していると思います。もちろん、僕は肌を出しますけど(笑)。

櫻井 僕も脱ぎます!(笑)やっぱり、『艶漢』らしさをお客様には印象づけたいですし、そこがこの作品の魅力だとも思っているので大事にしたいです。

稽古ではどんどん苦しんでいきたい


ーー ここまでの稽古の手応えはいかがですか。

櫻井 前半を通した状況ですが、順調だと思います。ミカシュン(三上 俊)さんと末原拓馬さんと一緒に稽古をしていると、どこまでも高みにいけそうな高揚感を覚えます。まだ前半を通しただけなので、できることがたくさんありますし、お芝居に妥協したくないので、稽古ではどんどん苦しんでいきたいです。

三上 先ほどもお伝えしたように会話劇の要素があるので、稽古を見ているとストレートプレイのように演劇的だし、これまでは僕らが弾けてお客様にお芝居を受け取っていただくことが大切でしたが、今作はお客様を舞台に引き込む作品だと思います。僕はそれをあえて壊す役割を担っていると思います。

艶漢 三上 俊 WHAT's IN? tokyoインタビューーー 演出のほさかさんからは、今回はどこに気をつけるように言われましたか。

三上 ほさかさんとは今作までに信頼関係が出来上がっているので、特別な要求はないのですが、「やりたいことを見せてくれれば、いいか悪いかを言う」というラフなスタンスで僕の場合は演出をされています。

櫻井 僕は27歳(※インタビュー時)になるのですが、「年齢に見合った居方を身につけて、座長としてカンパニー全体を見渡して、自分がどうあるべきかもっと考えるようにしよう」とおっしゃっていただきました。ほさかさんの演出で印象的だったのは、「兄や」(吉原安里)との回想シーンで涙を流すのですが、ほさかさんも泣いて指導してくださったこと。ここまで役者に正直にぶつかってくださる方がいると思うと感動しました。

三上 そうだよね。感情を大事につくるタイプの演出家で、本読みの段階では、脚本に“艶ポイント”という重要な箇所を指摘してくださるんです。たとえば、詩郎が仕込み刀を抜くところが“艶ポイント”とおっしゃって、しっかりとお芝居を見せて欲しいという見せ場を決めていらっしゃる。まだ脚本を読んでいる段階なので役者は想像しかできないのですが、実際に出来上がった絵がとてもカッコよくて、画面の構築力に目をみはります。

艶漢 WHAT's IN? tokyoインタビューーー 脚本を読ませていただきましたが、「水劇一座」の劇中劇がとても美しい印象を受けました。

三上 おっしゃるように、今作では劇中劇の水劇一座の演目に仕掛けが満載で、演目を上演している最中は、団員でない僕らも水劇ならではのお芝居をしているので注目してください。

櫻井 ミカシュンさんがおっしゃることもありますし、詩郎の視点から言えば、安里のいる「組」に行くまでの覚悟も描かれて、様々な葛藤を経て光路郎との関係が深まるので、そこが見どころになると思います。

艶漢 三上 俊 WHAT's IN? tokyoインタビューーー 劇中劇で、役者が役者を演じているのを見ると感化されたりするのですか。

三上 ありますね。たとえば、水劇一座の鏡湖 役の岡田あがささんが「生涯現役。花形は誰にも譲らない。舞台で死にたい」というようなことをおっしゃるシーンがあるのですが、僕も役者として同じことをずっと思い続けていて。それぐらい命がけで役者を続けていこうとする気持ちには共感してしまいます。

櫻井 僕も(岡田)あがささんがおっしゃる台詞は役者として根本的なことだと思ったので胸に響いたし、その想いを大切にしたいです。

今回はどんな新しい圭登を見せてくれるか楽しみにしています


ーー おふたりの関係性はいかがですか。

三上 “第一夜”で苦しんでいた圭登、座長然としている圭登、ずっと身近で見てきて、ここまで大きく成長しているから、今回はどんな新しい圭登を見せてくれるか楽しみにしていますし、いつも努力家だと感心しています。

櫻井 ミカシュンさんは僕の役者としての目標です(笑)。

三上 嬉しいね(笑)。

櫻井 『艶漢』でご一緒している時間は本当に貴重だと思っていて、僕のお芝居をなんでも受け止めてくれることに感謝しながら、ミカシュンさんに何をぶつけられるのか考えています。ミカシュンさんは言葉よりも目で伝えてくるので、最近は顔を見たら何を考えているのかわかってきたかもしれません(笑)。

三上 あはは。圭登には“第一夜”のときに「なんでもいいよ。なんでも返すから、やりたいようにお芝居して」と伝えたことを覚えています。舞台ではすでに印象的なシーンになっていますが、詩郎と安里がお互いの頬を触り合って兄弟の契りを交わすのですが、そこで目を合わせる瞬間、“第一夜”では目が泳いでいたのに、今では目の色が別人になっていて成長したことを感じています。

櫻井 ありがとうございます!

艶漢 櫻井圭登 WHAT's IN? tokyoインタビューーー 『艶漢』が役者としてどんな部分を育ててくれたと思いますか。

三上 とにかく身体能力を求められる役で、チート系のキャラクターを初めて演じたおかげで、身体を鍛えたり、肉体的にも成長させてもらいました。これまで僕の持っていた武器でお芝居をしていたのですが、その武器に進化形があったという新しい発見があって。男性と嬉々としてキスをする役も演じたことがなかったので、今まで役者として見たことのない景色を見せてくれます。

櫻井 『艶漢』で役者としての自分を客観的に見られるようになったことが大きいです。今までは目の前のことに対処するだけで精一杯でしたが、視野が広がって、舞台で自分がどう見えて、どうお客様に印象づけられるのだろうと考えることができるようになりました。『艶漢』では僕は美少年という設定なので、それも追求しようと思っていますし、美しさを表現するお芝居にも気づかせてもらいました。

艶漢 WHAT's IN? tokyoインタビューーー この作品を経ておふたりが役者としてどのように変化するのか楽しみです。

三上 吉原安里は僕にしか演じることができないと思っているので、回を重ねるごとに、年齢を重ね、体力も落ちて、見た目も変わっていくかもしれませんが、お客様が認めてくれるのなら、頑張り続けたいです。50歳になっても『艶漢』が続いているのなら、最後まで挑戦したいので、役者としてやりがいがありますし、楽しく成長させてくれる舞台だと思います。

櫻井 僕は人を幸せにしたいですね(笑)。

三上 はい、すごい哲学きたよ!(笑)

櫻井 (笑)。僕のお芝居を通して笑顔になってくれたり、感情を動かしてくれる方がいるのなら、いくらでも僕は苦しみますし、そのために技量も体力も必要だから、自分ができることを毎回100パーセントぶつけられるような役者になりたいです。

僕らの想いがお芝居で届けられたら


ーー それでは見どころをお願いいたします。

三上 シリーズ4作目なので、確実に『艶漢』に対する知識もお芝居も深まっているので、作品の完成度が上がっています。続投組の役者個人の能力も上がっているし、キャスト陣の関係性もこれからもっと強くなっていくので、これまでで最も面白い作品にしますので、ぜひ観に来てください。

櫻井 “第四夜”まで続けられたのは皆さんのおかげです。僕は(末原)拓馬さんとミカシュンさんに助けてもらうことが多いので感謝していますし、そんなおふたりとお芝居ができるのは嬉しいですし、今度は僕がおふたりを助けられる存在になりたいと思います。毎日を大事にしながら稽古をしているので、僕らの想いがお芝居で届けられたら嬉しいです。今作だけでなく、これからも『艶漢』シリーズを応援してください。

櫻井圭登&三上 俊が4度目の役で感じた『艶漢』への愛。浪漫活劇譚『艶漢』第四夜、まもなく上演!は、WHAT's IN? tokyoへ。