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くっつくパピー 絶望、諦念、どこかにあるはずの希望を爆発的なロックンロールに乗せる3人

モウリユウスケ(Vo&G)、マツシママサキ(Ba&Cho)、シマダメグ(Ds&Cho)による3ピース・ロックンロール・バンド、くっつくパピー。福岡在住、平均年齢21歳のこのバンドのキャッチコピーは、「負け犬なりに元気にしますワン(犬)」なのだという。バンドのキャリアや音楽性を説明する前に、まずは“ロックンロールと負け犬”について記してみたいと思う。

ロックンロールと犬(dog)はなぜだか良く似合う。たとえばザ・ストゥージズの名曲「I wanna be your dog」(1969年)。いまから50年以上前、パンクという言葉がなかった時代に、パンクとしか言いようがないロックンロールを体現していたのが、イギー・ポップが率いるザ・ストゥージズ。そのままズバリ、“お前の犬になりたい”と歌うこの曲は、愛と憎しみ、怒りと希望が絡み合い、生身のまま転がり続けるようなロックンロールだ。

犬(dog)という言葉は出てこないが、Beckの最初のヒット曲「Loser」の有名なサビの一節“I’m a loser baby, so why don’t you kill me?”は“俺は負け犬、なんで殺さないんだ?”と訳されることが多い。ブルースとヒップホップが混ざったサウンドだが、私としてはこの曲も“負け犬のためのロックンロールである”と言いたい。この曲がリリースされたのは93年だが、私がはじめて「Loser」を聴いたときに“おわ、自分のことじゃん”という感覚は30年近く経った現在も強く残っている。