TOPWHAT's IN? tokyo 圧倒的な主役感とスター性から目が離せな...

圧倒的な主役感とスター性から目が離せない。声優「内田雄馬」がど真ん中で体現する”男の子らしさ”考察

この人の声を知っておけばアニメがもっと楽しくなる(はず)! 今、旬を迎えている声優の魅力をクローズアップする連載コラム。今回は『マクロスΔ(デルタ)』『BANANA FISH』『この音とまれ!』など数多くの人気作品で主演をつとめ、2018年からはアーティストとして歌手活動も本格化させている内田雄馬さん、その声の魅力を掘り下げます。




◆にじみ出る天性の華やかさ、そしてスター性
令和の時代にレトロで“昭和”な例えで恐縮だが……日本プロ野球界を代表する名将、故・野村克也さんの言葉に「王(貞治)や長嶋(茂雄)はヒマワリ。私は日本海の海辺に咲く月見草だ」という名言がある。この言葉が世間で“名言”と語り継がれているのは、大人気球団の読売ジャイアンツで常に華やかなスポットライトを浴びていたライバルの王・長嶋と、世間から陽の目を浴びないパ・リーグ、南海ホークスでの活躍という自身の境遇の比較だけが理由ではなかったと思う。根っからの“陽キャ”でスター性あふれる長嶋茂雄と、ストイックで地味な努力家である“陰キャ”な野村克也という、人柄が正反対のライバル同士の関係が、ヒマワリと月見草という対比にズバリとハマっていたからだ。

どうして声優についてのコラムで、いきなり往年の名選手たちのエピソードを紹介したのか。これは、最近の内田雄馬の活躍ぶりを見るにつけ、思い出されるのがヒマワリであり、彼こそが天性のスター性を備えた声優界の長嶋茂雄的存在だと感じるからだ。内田本人のルックスの良さ、イベントやラジオなどのトークで感じる明るい人柄の良さもスター性を感じる理由のひとつで、実際、アフレコ現場での彼も、先輩・後輩を問わず愛されている人物だ。しかしそれだけではない。彼の声と芝居にもナチュラルに現れる天性の“陽”が、内田雄馬の声優としてのスター性を約束している。

◆“ピュアな王道の青年像”にハマる声と演技
内田雄馬の声の魅力は、真っ直ぐでクセがない。音域的には低音寄りの中音域とでもいうのだろうか。少しハスキーな響きを含んでいるため、中音域には豊かさがあり、低音に移るに従って雑味が減って、芯の強さが増していき、“ピュアな王道の青年像”を感じさせてくれる。だから、どんなに語気を荒げた激しい芝居をしていても、陰にこもったやさぐれ感や下品さが漂うことがなく、演じるキャラクターが本来持っているピュアさが、その奥にあることを実感させてくれるのだ。

例えば、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』。実直で正義感あふれる若き士官が、最後は狂気と独善を武器とした強大な敵へと変貌したアイン・ダルトン役は、バトルでの激情がふくらめばふくらむほどに、純粋なキャラクター性を発揮することになった。初アニメレギュラー作品となった『ガンダムビルドファイターズトライ』(2014年~)のコウサカ・ユウマ役、『マクロスΔ(デルタ)』のハヤテ・インメルマン役も、内田らしい少年~青年期のストレートな心情表現が冴えたキャラクターだろう。

そんな内田の芝居のピュアな男子らしさを、演技力の進化とともに見せつけてくれたのが、『この音とまれ!』の久遠愛(くどお ちか)役だった。誰よりも純粋で優しい心を持ちながら、不器用さゆえに周りからは不良扱いされていた愛が、音楽に真摯に向き合うことで自分を取り戻していく王道の男子高校生像は、内田の(たとえ口調は荒くても)爽やかな声質とひねくれていない芝居によって、より一層、魅力的なキャラクターとなって輝いた。

現在放送中の『あひるの空』の花園百春も、久遠愛と同じように元はぐれた不良だが、純粋にバスケを愛する不器用な高校生。同じバスケ部の仲間の情熱に打たれながら、自分の弱点と向き合い、それを乗り越えようともがく姿がとても愛おしく見えるのは、内田の芯の通った爽やかな演技とスター性にあふれた声あってこそだろう。

◆20代半ばから、より繊細かつ複雑な心情表現でも実力を発揮!
華やかなスター性で男の子らしさをど真ん中で体現させる内田の演技は、女性ファンがメインの作品でも存分に発揮されている。ツンデレなところも愛おしい名作『フルーツバスケット』の草摩夾。完璧主義で尊大だが、時折見せる友情への熱さが魅力的な『アイドルマスター SideM』の桜庭薫。落ち着いた雰囲気なのに可愛い一面がのぞく『あんさんぶるスターズ!』の漣ジュン。内田には珍しく高めの音域で優しい声を持つ『うたの☆プリンスさまっ♪』の鳳瑛二。少年らしいわがままさと意地っ張りなキャラクター性で人気の『KING OF PRISM』涼野ユウなど、女性をキュンとさせるキャラクターも、内田の得意ジャンルといえそうだ。なにより、声優アーティストとしての実力も高く評価されている内田の歌唱力は、今やアイドル系人気コンテンツには欠かせない存在にもなっている。

一直線なピュアさを真っ直ぐに出したキャラクターを得意とするいっぽうで、内田は内面はピュアだが複雑な心情を持つキャラクターを演じる機会も増えてきた。なかでも、アッシュ・リンクスを演じた『BANANA FISH』は、今後も内田雄馬の代表作として語られることになるだろう名作だ。圧倒的なカリスマ性と冷酷無比な顔を持つ孤独なアッシュが、純粋無垢な奥村英二(CV:野島健児)のひたむきな愛情に心を開き、人間として救われていく繊細な心の揺れ動きを、ときにクールに、ときに優しく演じていく内田の丁寧なキャラクター表現は、『BANANA FISH』を傑作へと導いた。今春より劇場版(『映画 ギヴン』)の公開も予定されているBL作品『ギヴン』の上ノ山立夏も、抑えた演技による細やかな心情表現が印象的だった。

こうして内田の主要作品を挙げていて、ひとつ感じたことがある。それは圧倒的な“主役感”を漂わせ、実際に主役であるときでも、内田の声と演技は周囲のキャラクターから浮き上がることなく溶け込み、巧みなバランスで他のキャラクターを際立たせて作品そのものを魅力的に彩っていること。これは20代の若い役者には、なかなかできないことだ。

ではなぜ、内田がそれを軽々とやってのけられるのか。それは、彼が学生時代、ひとりひとりの声を溶け込ませながらハーモニーとアンサンブルを作り上げる、合唱隊で歌の研鑽を積んだことが大きいのではないか。合唱は、勝手に個性を主張しあっていては成り立たない。アニメ制作も芝居もよく“チームプレイ”に例えられるが、チームのアンサンブルの大切さを身を以て経験してきた内田雄馬は、これからもスター声優として、活躍の場を広げていくに違いない。

文 / 阿部美香

圧倒的な主役感とスター性から目が離せない。声優「内田雄馬」がど真ん中で体現する”男の子らしさ”考察は、WHAT's IN? tokyoへ。