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YOASOBI 一夜限りの1st ワンマンライブ。普遍性と新しさをバランスよく含んだ素晴らしいパフォーマンスを振り返る。

豊かなストーリー性を感じさせる楽曲、Ayaseを中心とした、現代的なポップセンスを備えたアンサンブル、そして、歌詞の世界観を的確に伝えながら、シンガーとしての個性を際立たせるikuraのボーカル。初めての単独ライブでYOASOBIは、普遍性と新しさをバランスよく含んだ素晴らしいパフォーマンスを繰り広げた。

YOASOBI WHAT's IN? tokyoライブレポート『KEEP OUT THEATER』とタイトルされたこのライブは、東京・新宿ミラノ座跡地の建設中のビルの中から配信。Ayaseとikura、バンドメンバーは工事用のエレベーターに乗り、新宿の夜景に囲まれた“ステージ”に移動。YOASOBIのロゴをバックに<夜の空を飾る綺麗な花 / 街の声をぎゅっと光が包み込む>というフレーズ――“都心のビルのなか”というシチュエーションにピッタリ重なる――をikuraがアカペラで歌唱し、ライブはスタートした。オープニングは「あの夢をなぞって」(1st EP『THE BOOK』収録)。プロジェクションマッピングで周囲の壁に花火を映し出しながら、“夢に向かって進んでいきたい”という決意を込めた歌が響き、一瞬にしてYOASOBIの世界が海さ出される。さらに「YOASOBIの1stライブ『KEEP OUT THEATER』へようこそ!画面の向こうのみなさん、ぜひ一緒に盛り上がっていきましょう」(ikura)という言葉に導かれた「ハルジオン」(1st EP『THE BOOK』収録)へ。生ドラム、アコギ、シンセベース、鍵盤のアンサンブルにより、近未来的なダンスビートと生楽器の音色が見事に融合。切なさに溢れたメロディともに描かれるのは、別れた恋人への思いと日々に飲み込まれる自分自身の感情。歌詞に込められた物語をオーディエンスに手渡すように歌うikuraのボーカルが素晴らしい。

YOASOBI WHAT's IN? tokyoライブレポートYOASOBI WHAT's IN? tokyoライブレポート最初のMCでikuraは、「夜、私たちが立ち位置禁止の場所に入り込んで音楽を奏でていて。そんなYOASOBIらしい場所からお送りしてます」とライブ会場について説明。さらに衣装(Ayase、ikuraは、白のMA-1を自分でペイントしたという)を紹介したり、リアルタイムで視聴者からのコメントを読み上げた後、「ずっと同じ部屋で過ごしてきた2人の別れの朝を描いた曲」(ikura)という「たぶん」(1st EP『THE BOOK』収録)を披露。音数を抑えたゆったりとしたグルーヴとともに、恋人との別れを淡々と受け入れる“僕”の感情が描かれ、没入感が増していく。続く「ハルカ」(1st EP『THE BOOK』収録) では、温かいメロディと“君のそばにいられること”の幸せを綴った歌が広がる。YOASOBIは“小説を音楽にする”ユニットだが、いくつかの楽曲が連なることで、物語と物語が共鳴し、さらに奥深いストーリーにつながっていく。この現象もYOASOBIのライブの魅力だろう。繊細な転調を効果的に取り入れた構成、ファルセットを交えたメロディラインも絶品だ。

YOASOBI WHAT's IN? tokyoライブレポートYOASOBI WHAT's IN? tokyoライブレポート「いまお届けした『ハルカ』という曲は、鈴木おさむさんの『月王子』という小説が原作となってまして。マグカップが一人の少女の人生を追い続ける愛のお話なんですけれども。ということで、(メンバーが)それぞれのマグカップを用意してますので、カンパイしてみましょうか?」と、マグカップを持って視聴者といっしょに“カンパイ”。リラックスした雰囲気とともに、メンバー同士の気の置けない関係が伝わってきた。

「画面の向こうのみなさんもきっと、人に言えないような悩みや葛藤、夢を追う中での迷いを抱えていると思うんですが、みなさんの心のなかをさらけ出せるような、背中を押せるような曲を届けられたらなと思います」

ikuraのそんな言葉とともに演奏されたのは、「怪物」(TVアニメ『BEASTARS』第2期オープニングテーマ)不穏な雰囲気のシンセのフレーズ、鋭利なギターサウンド、アグレッシブなビートが絡み合い、自分の在るべき姿を探し、悩みながら生きる“僕”の複雑な感情をダイナミックに解き放つ。紫、赤、青に染められたスモークに包まれたステージ、メンバーの手元や表情、そして、ビル全体の様子を交互に映し出す映像も、楽曲のムードを増幅させていた。